「ポイント」という金属の針で銅に彫っていきます。手の力で引っ掻くので、それほど深い溝ができないのですが、線の回りに「バー」という「まくれ」ができます。
インクを詰めてふき取ると、その「まくれ」にインクが引っ掛かって、にじんだような大変味のある線ができます。
池田満寿夫さんの作品などにドライポイントの名作がありますね。
ドライポイントの制作の詳しい説明は、[ドライポイント道具編]以下を参照して下さい。
これも、ドライポイントと同じく、銅の「まくれ」を利用した技法です。
メゾチントは、「ベルソー」という工具を使って、銅の表面にむらなく点々を打ち、まくれを作ります。
この作業を「目立て」と言いますが、目立ての終わった銅版は、試しにインクを詰めて刷ってみると、真っ黒け!
これを、「スクレッパー] と呼ばれる刀のような工具で、めくれを削って調子を作っていきます。
つまり、最初に版を真っ黒にしておいて、あとから白い調子を作って絵を完成させるわけです。
ビロウドのような深い黒が表現できる技法です。
ルーレットは、メゾチントと原理的には同じですが、版面全体に使うのではなくて部分的な目立てに使うための工具です。

1.ドライポイント と、2.メゾチント は、彫るというより銅版の「まくれ」を利用したものですが、エングレーヴィングはまさに銅の彫刻です。
「ビュラン」という、刀のような工具で、銅版に線を描いていきますが、「ビュラン」の断面は鋭い三角形のカタチをしてるので、銅は非常にシャープに彫ることができます。線の太さを変えるには、ビュランの種類を変えて彫っていきます。
ビュランで線を彫るのは非常に大変な作業で、たとえば、円を描くにはビュランを動かすのではなくて銅版の方を回しながら彫っていきます。
大変緻密な線が彫ることが出来るので、細かい絵柄の作家が使う技法です。
故・長谷川潔さんもこの技法で名作がたくさんあります。
エッチングに比べると、冷たい感じのシャープな線が刷られます。
まず、銅の表面に「グランド」という防蝕膜を塗ります。
その上に、鉄筆でひっかいて線を描くと、グランドがはがれ、線の部分だけ銅の表面が露出します。
この版を、「塩化第二鉄」や「硝酸」といった、銅に対して腐蝕作用のある薬品の中に入れます。
線の部分だけ腐食され、彫られて行きます。
エッチングは、ドライポイントのように「まくれ」はできませんが、より深く彫られるので、シャープな線が出来ます。
また、腐蝕液を使った技法では、線の強弱は、力を入れて描くのではなく、腐蝕の時間の長さによって調節します。
薄く細い線にしたいときは、ある程度腐蝕した段階で、そこの線だけ「グランド」または「黒ニス」「止めニス」という防蝕剤を塗って止めればいいわけです。
エッチングの制作の詳しい説明は、[エッチング道具編]以下を参照して下さい。
エッチングは線の表現ですが、アクアチントは面の表現です。
松ヤニは、乳鉢等で細かく砕いておきます。
松ヤニは「グランド」と同様防蝕効果があります。
松ヤニは熱でとけるのですが、ここでは完全に溶かしてしまわないようにします。(銅が完全に覆われてしまいますからネ)
松やにの粒子の一粒一粒が、ちょっと銅の表面にくっつく位に熱します。

エッチングと同様、白くしたいところは「グランド」または「黒ニス」「止めニス」を塗っておき、腐蝕の時間の長さによって濃さを調節します。
ここにあげた銅版画の各技法は、単独で使ったり併用して使ったりします。 アクアチントは特に単独で使うことはまれで、たいていエッチングと併用して使われます。
多版多色刷りのカラー・エッチングでは、色面の表現はアクアチントを使うことが多いです。
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「都市の記憶 窓からの眺め」より部分 |
「白い干潟と炎の祭」より部分 |