ガソリンやシンナーなどの有機溶剤を使ったウエスは使用後すぐにインク缶に入れて密閉しておくようにすると、かなり嫌な臭いが防げます。有機溶剤を使ったウエスは放っておいてはいけません。それは作業中に揮発する有機溶剤よりもウエスから揮発するほうが、はるかに多いと思うからです。
また、版を洗う時に使用した新聞紙なども、すぐに密閉出来るクズカゴ、ふた付きのクズカゴに入れましょう。
ウエスや新聞紙などをすぐ密閉することによって、アトリエ内に揮発する溶剤の量は八割り方少なくなると思います。
版を洗う作業、黒ニスを落とす作業など、有機溶剤を沢山使う作業はわりと限られているものです。そこで、できるだけ換気扇を作業場に付けるようにして、そのそばでそういう作業を行なうようにします。できればそういう有機溶剤を使う作業だけ別の部屋で・・・と言いたいところですが、なかなかそこまで広い作業スペースがない場合が多いですよね。それに、銅版では黒ニスで細かい止めの作業などが加わりますが、これは明るい机の上で落ち着いて作業したいものです。
もし、これからアトリエを作りたい!と考えていらっしゃる方は、作業台だけでなく机の下にも換気扇を付けるようにしましょう。かなり臭いが違います。

最近は油絵の具等の筆洗油も、水と油を乳化させるタイプのものがでていますね。 版画用のものでも「エコウォッシュ」というものがエスケー液製造株式会社がスイスから輸入しています。印刷材料をあつかっている店から購入できると思います。
永沼版画制作では、青山の(株)三星商会(TEL 03-3400-6782)から購入しています。 10リットル入りで、12000円 1リットル入り、1400円です。
一見高価だと思われますが、使い方を間違えなければ灯油やプリントクリーナー、ホワイトガソリン よりも経済的です。
そして、なによりも人体に無害であること、環境へもやさしい(植物油なので自然に分解する)という 事がエコウオッシュをおすすめする理由です。
1.まず練り台上のインクをインクベラでかき取りローラーを練り台でころがし、インクベラでかき取ります。これを数回繰り返します。あるいは、ローラーは新聞紙の上でころがしてもよいでしょう。要は、できるだけローラーや練り台のインクを少なくしておきたいのです。この作業はエコウオッシュの使用量を少なくするためです。エコウオッシュはノズルのついたボトルに入れておきます。
2.エコウオッシュをローラー上に少量(ノズル付きボトルでさっとひとすじ位で十 分です)かけます。ここでエコウオッシュを使いすぎては不経済です。ローラーをころがし、練り台とローラーを洗います。
3.ウエスで拭き取ります。ウエスは次回の洗浄のために空のインク缶に入れて取っておきます。
4.ここからが、有機溶剤を使った場合と違うところです。スポンジに水を十分含ませ、ローラーと練り台を洗います。エコウオッシュは植物油なのですが水にも簡単に溶けてしまいます。後は乾いたウエスで乾拭きして作業終了です。
エコウオッシュの場合、水洗いと乾拭きの作業が加わり、作業工程が多くなります。しかし、そこは慣れてしまえば苦にならなくなるでしょう。なにしろ環境への影響や作業環境の改善、健康には代えがたいものだと思います。
ローラーを洗ったときに使ったウエスで拭き取り、スポンジで良く水洗いします。エコウオッシュの油成分が残らないように注意します。エコウオッシュを直接 版にかけないようにしましょう。エコウオッシュはかなり強力なのでラッカーや感光乳剤(PS版)を溶かしてしまう場合もあります。
☆☆注意!永沼版画制作では、直描きの砂目版や石版、製版の作業ではエコウオッシュを使ったことがありません。PS版ではエコウオッシュを使いますが、良く水洗いしないと油成分が残りやすいので、砂目版の場合は注意が必要だと思います。
銅版画の場合、どうしても黒ニスなど強力な溶剤は灯油だとか、ある程度ガソリン、シンナーなどを使わないと落とすのが大変かも知れません。でも、仕上げ拭きにシンナーの替わりにエコウォッシュを使ってみると、思ったよりも良く落ちるのです。
特に、刷りが終った後、版面に残ったインクを拭くのにはシンナーなどよりエコウォッシュの方がきれいに落ちるくらいです。
銅版のインクをエコウォッシュで洗ったら、水で良く洗い流しましょう。