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銅版画

道具百科
B.溶剤とその他の必要な道具

■溶剤

白ガソリン(ホワイトガソリン)

基本的な油性の洗浄剤として使います。揮発が早く、もともとは工業用の油分を落とすための有機溶剤です。「版を洗って」と言ったら、この白ガソリンで拭けということです。インクを拭きとったり、黒ニスやグランドを取ったり、ちょっとした版の汚れを拭いたりします。

しかし、メゾチントを刷り終わった真っ黒な版や、大きめの黒ニスがベッタリ付いている版をいきなりこの白ガソリンを使って拭くと、揮発性が高いために、少し版にかけたら拭ききる前に揮発、またかけて揮発、結果ジャバジャバ使ってしまいがち。下手すると一瓶あっという間になくなってしまいます。

なので、そういう場合まず粗拭きは後述する灯油を使って、仕上げ拭きにこの白ガソリンを使います。インク台の掃除なども同様です。

黒ニスを溶いたり液体グランドを溶いたりするのにも使います。

ホワイトガソリンは有機溶剤ですので、取り扱い、換気には十分注意しましょう。ガソリンの染み込んだ使いかけのウエスは、出しっぱなしにせず、写真のように密閉できるフタのついた容器に入れておきます。

ホワイトガソリン

ホワイトガソリン
フタの出来る容器に移し替えて使う
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使いかけのウエスは空き缶などに入れて、
白ガソリンの蒸気が蒸散しないように
気をつける

灯油

代わりに「プリントクリーナー」という製品を使うこともあります。

まず、灯油は揮発しません。ので、インク台の掃除や、版のインク取りやグランド、黒ニス落としの粗拭きとして、灯油をかけて歯ブラシなどで良くふやかしておいて拭き取るのに使います。揮発しないからゆっくり落とせるわけですね。

もちろん、そのままだと(揮発しないので)ベタベタしたままなので、白ガソリンで仕上げ拭きが必要です。黒ニスに使った筆の筆洗にも使いますが、灯油がついたままだと黒ニスが固まりませんので要注意。必ずウエスで灯油を拭き取ってから使いましょう。黒ニス、液体グランドなどには混ざらないように気をつけます。

その他に、グランドを塗る時に使うゴムローラーの掃除は、この灯油のみで行います。(白ガソリンだとローラーのゴムが劣化するため)

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シンナー(ラッカー薄め液)

白ガソリンでは溶解力が不十分な場合に補助的に使います。落ちない汚れや、版面の油分をきれいにしたい時、また、黒ニスを溶く時に白ガソリンだけでなく、このシンナーを数滴混ぜて使うと筆さばきがなめらかになります。大変臭いので換気に注意!

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燃料用アルコール

アルコールランプ用。その他に、アクアチントの松脂、マッキーの線を消す時も使います。

以上4つが永沼版画アトリエに常備してある溶剤です。

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リグロイン

版画材料を扱っている画材屋さんや、薬局に売っています。少々お値段が高いのですが、手に入れやすいです。溶解力があるので、上記黒ニスを溶く時に「白ガソリン+シンナー」で溶く代わりにこのリグロインだったら一本ですみます。

リグロイン

ウエス(ボロ切れ)

版画用語?では「ウエス」といいます。

画材屋さんでも版画用品「ウエス」として売っています。ボロ切れを買わなくてはいけないなんてバカバカしいですけど、無いと大変困ります。

写真上は以前購入していた「元おしめ」のウエスで、大変吸水性もよく、雁皮の糊を拭いたり版の水気を拭いたりと大活躍だったのですが、時代の流れか廃番になってしまいました。(泣)

現在使っているウエスは吸水性がイマイチなので、版や紙の水気取りは無地新聞、雁皮の糊を取るのはキッチンペーパーを使うことにしています。

ウエスは、1枚を2つに切って使います。白ガソリンや灯油がしみ込んだ使いかけウエスは、出しっぱなしにせず必ずカンの中に入れて、臭いが蒸散しないように気をつけます。

ウエス(ボロ切れ)
元おしめのウエス。
残念ながら廃番
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現在使っているウエス

古新聞紙、無地新聞

刷りや、版のグランドや黒ニスを落とす作業の時には、必ず新聞紙の上で作業します。特に刷りの時は、寒冷紗や人絹だけで拭くのではなく、余分なインクを新聞紙に吸い取らせたり、人絹に付いたインクの膜を新聞紙で取りながら拭いたりと、作業になくてはならない重要なものです。

しかし、最近新聞をとっていないご家庭も増えており、古新聞紙がない方も多いでしょう。実は管理人のところもそうです(笑)

最近「無地新聞」という、新聞を印刷する前の紙を使い始めました。宅急便で買い物をした時、ダンボールの中の隙間に丸めて詰めてあるアレです。

インクが付いていないので、紙の水気を拭くのに吸い取り紙として使ったり、雁皮の糊を取るのに使ったり、わら半紙の代わりに版画を挟んだりと、なかなか使い勝手が良いものです。水を吸ってヨレヨレになったら、刷りの時の下敷き用新聞紙に回します。

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必需品の古新聞紙
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無地新聞。机の脇に引っ掛けてある
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ペーパータオル

いわゆるキッチンペーパーです。雁皮刷りの時、糊を拭くのに使います。

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