このページでは、
リトグラフ=平版
「水と油の反発を利用して(または他の方法で)平らな版で刷る版画」
と定義づけて、リトグラフに使われる版材料のわけ方によって、色々な技法を説明していきたいと思います。


リトグラフはそもそも石を使った技法でした。
それで、いまだにリトグラフの事を「石版画」と訳すケースが多いのです。
現在市販されている「リトグラフ用プレス機」も、「金盤」と呼ばれる部分は石の厚を模しているのです。つまり昔、石をプレスしていた痕跡、というわけです。
石をリトグラフに使うには、まず石(ヨーロッパ産の石灰岩)に、「金剛砂(こんごうしゃ)」という細かい砂の粒々をまき、平らな金属の板をすりあわせるようにして、石に細かい砂目を立てます。
砂目を立てることによって、上にクレヨンや解墨で描画しやすくすると共に、スポンジで水を引いたときに水になじみやすく、すぐに蒸発してしまわないようにします。
描画する材料は「油性のもの」というのが原則です。
これは、リトグラフの原理=水と油の反発を利用して刷る、を理解していれば当然ですネ。
また、鉄筆(銅版で使うニードル、ポイントなど)で、黒い部分を削ったりすることも出来ます。
石を使ったリトグラフは、インクの乗りが大変良く、刷り上がりもそれに比例して細かい調子からベタの調子まで美しく刷ることができます。
ただ、石は重く、持ち運びに不便なこと、高価なことなどがあり、現在ではあまり気軽に使えるシロモノではありません。
多くの作家がアルミ版などその他の材料を使うようになっています。
現在リトグラフと言えばアルミ版を使うのが一般的です。
もともと印刷の世界でも20世紀前半までは石を使っていたのが、石からジンク版へ、ジンク版からアルミ版へと変化していきました。
その流れが、リトグラフという美術版画にも影響を与えたと言えるでしょう。
たとえば、10色の色彩リトグラフを作る作家は、石のリトグラフであれば10個の石を使うことになります。これは、ちょっと考えただけでも、大変な労力と手間ですね。
アルミ版であれば、何枚か束ねてもそれほど場所もとらず、重さもたいしたことはありません。
このような理由から、アルミ版は現在最も普及している版材料となりました。
美術学校などでも、リトグラフと言えばアルミ版を使う所が大半です。最初からリトグラフ用に砂目を立てたものが材料店で入手できます。
アルミ版のリトグラフの色々な技法については、アルミ版のリトグラフで詳しい説明があります。
印刷で石からジンク版、アルミ版へと変化していった歴史から、リトグラフでもジンク版を使う作家がいます。
ジンク版は、解墨などの調子がアルミ版に比べて斑点状の文様になり、特徴あるトーンになるのが特徴です。
木を使ったリトグラフは、日本の多摩美術大学の小作青史先生が初めて使った技法です。現在、多くの作家がこの方法を使っています。
木にリトグラフの方法で油性材料で描画する他に、彫刻刀で彫りを入れたりして製版します。リトグラフの自由な描画と、木版ならではの木目を生かした、特徴ある版材料です。
木版リトグラフの詳しい説明は、[木版リトグラフ]以下を参照して下さい。