版画HANGA百科事典
版画全般
版の形式の話
ここでは、もう少し細かく、版画を
版の形式(プリンティングプロセス)
によって見ていきましょう。
頭に版と紙をイメージして説明を読むと、良くわかると思います。
なぜ、2種類も分け方を説明するかと言うと
、版の材料による分け方(木版、銅版・・・)だけでは理解しづらい版画の種類が沢山あるからです。
たとえば、木版は凸版・・・出っ張っている所にインクを付けて刷る、と前ページで説明しましたが、木版にニスを塗って彫刻刀で鋭い線を彫り、凹版刷りをする人もいます。
また、銅版は凹版と説明しましたが、銅版を使って凸版刷りを刷る人もいます。
版画のやり方はアイデアしだい。
現代の作家は色々な工夫をして色々な版材料を使っています。
作品を見て、「これはどういう技法で作っているのかなあ・・・」と
考えられるようになると、現代版画を見るのも
いっそう楽しくなることうけあいです!
版の出っ張っている所(凸部)に絵具をつけ、それを刷りとる
代表的な版種
- 木版(板目木版)
いわゆる木版。小学校の時やりましたね。木を縦に挽いた板(シナベニヤなど)に、彫刻刀で凸版を作ります。
板目木版の詳しい説明はこちら
- 木版(木口木版 こぐちもくはん)
木を輪切りにした硬い版に、銅版用の道具で細い線を彫る技法です。
木口木版の詳しい説明はこちら
- リノカット
リノリウム版を彫ったもの
小学校の時、もしかしたら木版の代用としてやった人もいるかも知れません。
年賀状づくりに利用する人もいるかな?
画材屋や文房具屋で、青や緑色のリノリウム版が売っています。柔らかい版です。
- その他
紙版(紙を切り貼りしてつくる)実物版(でこぼこした物をそのままつかって、インクをつけて刷る)など。
版のへこんでいる所(凹部)に絵具を詰め、それを刷りとる
代表的な版種
- 銅版
銅を直接、または腐食液などを使って凹部を彫り、そこにインクを詰めて刷ります。
銅版の詳しい説明は、[銅版]以下を見て下さい。
- 木版で凹版を刷る
板目木版にニスなどを塗り、彫刻刀で彫った線に油性インクを詰めて刷る。
- その他
鉄、塩ビ、アルミニウム、ガラスなどに凹部を彫って刷る、など。
銅版もふくめて凹版を、「インタリオ」と言うこともあります。
水と油の反発作用を応用し、平面の油の部分にインクを付着させ、それを刷りとる
代表的な版種
- リトグラフ
油性のクレヨン、解墨などで描画し、版面を水で濡らしながらローラーでインクを盛ります。
石やアルミ版、ジンク版、木版を使ったリトグラフも沢山の作家が試みています。
リトグラフの原理の説明はこちら
より詳しい説明は[リトグラフ]以下を参照して下さい。
- オフセット
亜鉛、アルミニウム等に製版したものを、いったん大きなゴム版面に転写して、それをまた紙に刷ります。
雑誌などの印刷は今ほとんどこの方法です。
- コロタイプ
ゼラチンと重クローム酸カリの混合物が、光によって水に不溶性になり、印刷インクののりかたに変化が起こることを利用した、ガラス製版。
型紙の切り穴の部分を通して、下の紙にインクを刷り込む
代表的な版種
- ステンシル
丈夫な紙を切り抜いて、穴からしたの紙にインクをすり込みます。
インクを刷り込むのは、ローラーとは限らず、刷毛なども使うことがあります。
最近は、アーリーアメリカン調の型紙と、色インクのセットなどを良く東急ハンズなどで見かけますね。
- 謄写版
原紙(ロウ紙)のロウを、鉄筆や薬品によって処理し、その穴を通してインクを刷り込みます。昔の小学校の学級新聞は、みなこの方法で作ったものです。
- シルクスクリーン
原紙の代わりに絹を使い、必要な部分以外は、紙、ニカワ、乳剤などで目をつぶして製版するもの。
シルクスクリーンの詳しい説明はこちら。
5.その他
- コピー、青写真、謄写ファックス、コンピューターグラフィックなども、現代では広義で版画ととらえられています。
6.併用版
中込洋子「白い干潟と炎の祭」
黒の版は銅版凹版。
色の版は、塩ビ板に
樹脂を塗り筆目を出して
ローラーでインクを盛った
「コラグラフ」凸版
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- 描く版形式、版種を併用。
たとえば、色の部分は木版凸版で。線は銅版凹版で、など。
- 一つの版を、凹凸に両用、同時に刷る。
たとえば、彫ったところに油性のインクを詰め、出っ張った所には軽くローラーでインクをのせて、一気に刷る。
参考資料:日本版画協会画集(社団法人 日本版画協会発行)