
前ページと同様に、銅版にソフトグランドを塗ります。


ソフトグランドを塗った銅版に直接描画するのではなく、「トレーシングペーパーに圧力をかけて、ソフトグランドに描線のところだけ穴をあける」というのがポイントです。
銅版にそっとトレペをかぶせ、トレペに7Hなどの硬い鉛筆でドローイングします。


ソフトグランドは柔らかいので、鉛筆でトレペに描いた描線の所の部分が、トレペの裏側につきます。つまり、描線の部分が薄くなります。その部分が腐蝕液につけた時、腐蝕する・・・というわけです。
注意ですが、トレペの上から何度も線をなぞると、トレペの裏側に付いたソフトグランドが銅版に逆戻りしてしまいますので、何度もなぞったりしないように。

写真では分かりづらいのですが、トレペの裏側にはソフトグランドの油がついています。また、銅版は、線描の部分が白く抜けています。

硝酸を使うと泡の力でソフトグランドが飛んでしまいがちなので、塩化第二鉄で腐蝕します。
ただ、描画の時に筆圧が弱かったなどの理由で、2,30分経っても腐蝕しない場合などは硝酸に入れて様子を見たりすることがあります。
腐蝕が終わったら、ソフトグランドをホワイトガソリンなどで取り除きます。
この作例は、塩化第二鉄で15分ほど腐蝕したものです。ハードグランドにニードルで描画するのとは違い、早く仕上がるのが魅力ですね〜。鉛筆タッチの柔らかい線が腐蝕できました!
「鉛筆エッチング」は、山本容子さんが使っていた技法として有名です。
固い鉛筆の他、ボールペンを使ってみても違う感じになるし、トレペの他に薄手の別の紙を使ってみても良いかもしれません。鉛筆の先が尖っていたり丸くなっていたりでも、変化するでしょう。
ソフトグランドは、ハードグランドに比べてブツブツが腐蝕してしまうなどトラブルが多く、ちょっと手でさわったりすると指紋が腐蝕されたり、トラブルが何かと多いので、あまりそういうことが気にならない方向きの技法かもしれません。どちらかというと、デッサンというより勢いの良いドローイングの作品に向いているように思います。
鉄筆のように描画のときに銅にひっかからない技法ですので、柔らかい線のドローイングっぽい作品にはもってこいですね〜。